立ち読み
つねづね思っていることだが、立ち読みというのはどうなんだろうか。
書籍の価値を、装丁、手触りなどのそのもの自体の魅力、そしてそれを所有することだけに置くならそれはそれでよく、とくに問題はない。
しかし中身のソフトの部分を書籍の価値とするなら、これを、タダで、気前よく、公開していてもいいのだろうか。普通に書店で売っているスタイル、まる裸で並べておいていいのだろうか。
たとえば音楽には、試聴というのがある。ただし音楽はなんども再生することに意味がある(同じ音楽を何度も聴く)ので、、購入、所有することと、タダで試聴できることとの間に問題はない。
立ち読みは、買うか買わないかを決めるために行う場合もあるだろうが、そのほとんどは、買うまでもない本の中身の内容をおおまかに取得することである。おおまかなどころではない取得の場合もあるだろう。
一回目を通せばすむ本、もう一度読みたい本、手元に置いておき情報を利用したい本、など本の種類によってある程度分類することができる(消費者の嗜好にもよるが)。一回読んだらまず二回読むことはない本のうち、立ち読みだけで用が済まされるその量はいったいどのくらいあるのだろうか。
映画には立ち読みに相当するシステムはない。宣伝や広告、評判などから消費者は購入し、よかったとか、おもしろくなかったとか、いずれの場合もそれを見たあとで感動したり後悔したりする。
そこで提案。
まず、一回目を通せばすむ本といえる、小説、エッセイの類いから始めよう。
最初から文庫本、帯はつけない、その分カバーのうしろの内容の説明文をカバー全体に増やしてわかりやすくする。カバーを広告化するのだ。
そしてパッケージは漫画本みたいにシールする。
一冊一冊のコストを減らし、単価を下げる。300円ぐらいにする。
立ち読みしてても時間はかかるわけで、その分電車で読むとかのほうがいいわけで(時間つぶしの場合は別)、ちょっと読んでみたいなあというときにすごく買いやすいと思うのだが。
ぼく自身、新刊1800円が決して高いとは思わないし、わりと買っている方だと思うが、立ち読みで済んでいるぶんはかなり多い。文庫になってから買うというのも多い。300円ならがんがん買ってしまうだろうな。
書籍はその流通システムが特殊であるし、消費者の本離れなどもあるので、なかなかむずかしいとも思うが、どっかの出版社が実験的にやってくれたらおもしろいのだがなあ。リテール単価半額、販売冊数5倍を目標に、どうですか。