翻訳について
文章を翻訳するとき、その表面的な意味だけを伝えるだけなら、そんなに苦労はしなくていい。芝生に入るな、とか、まもなく品川、とかそういう深い意味のないメッセージ的なものは別に問題はない。
小説や詩の翻訳って、シンプルな意味だけではなく、時代背景を含めたニュアンスや、言葉の含む意味合いの広がりといったものなどを表現していかないと、本意が伝わらない。
特に詩の場合は、その表現方法自体が、言葉の意味の広がり、音の響き、並べ方などから、読み手、聴き手に共通して伝えるイメージ、というものなので、単に直訳というのでは、せいぜい4分の1伝わればいい方だろう。
一度原語で味わって、それを違う言語で表現するという非常に手間のかかる、そしてそれなりのセンスのいる、まさに創作作業になるだろう。
センスというのは、文章をイメージとして味わうことができること、それを言葉で表現できること、そして、母国語と外国語それぞれそれなりにそこそこできることが前提である。
そんなことにぼくはトライしようとしているのだが。